大理石とはなにか。人類とともに歴史を歩んだ伝統の石について①

2020年4月20日月曜日

石解説 大理石

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大理石

大理石。様々な模様と色があるその石は、古代から人類を魅了してやみません。
古くはティグリスユーフラテス文明からその使用が確認されている大理石ですが、現代でも高級材としてのイメージが強い石です。

前回の石灰石の記事で、大理石の成分についての説明をいたしました。

ですので今回はその歴史的側面について書いていきます。

そもそも大理石とは

大理石、(英語ではMarbleと綴ります)の名前の由来は古代中国に存在していた大理国にあります。
大理国で採れた石なので、大理石、なんですね。
英語のMarbleの由来は、ギリシャ語のmármaros(μαρμάρος)から来ています。
意味としては「輝くもの」で、光り輝く大理石を想像すれば、納得できる語源ですね。


大理石とは炭酸カルシウムである石灰石が、強い圧力と熱で変質したものです。
この変質の過程で、輝く成分が出来上がりあの美しさが現れるのです。
ちなみにこの炭酸カルシウムというのは、サンゴなどの死骸に含まれる成分で、
同じ石といっても、マグマを元とする御影石とは全く違ったものとなります。

なぜ大理石は愛されるのか。主要因としての美しさ

大理石は美しい石です。それは誰もが認めることだと思います。
そして世界中(特に西洋世界)の歴史的建造物の多くで大理石が使われています。
日本でも、国会議事堂や、日本橋三越などで大理石を見ることができます。

なぜ大理石はここまで愛されているのでしょうか?
前述したとおり、その美しさは欠かせない要素です。
古代から、権力者がその偉大さ、権威を主張する際に、視覚情報としての美しさとは必須の要素でした。
ヨーロッパには何度か訪れましたが、歴史的建造物を目にすると、言葉など要らないその荘厳さに圧倒されてしまいます。
日本のお城も同じですね。世界遺産に指定された姫路城の美しさには言葉はいりません。
かつて存在していた織田信長の安土城も、見る人すべて、日本人のみならずポルトガルの宣教師すら圧倒したと伝えられています。

目で見てわかる偉大さとして、美しさが時の権力者に重宝されてきたのです。

大理石の特徴としての「やわらかさ」

しかし、大理石がここまで愛される石材となったのは美しさだけではありません。

大理石が重用されるようになった大きな特徴はその加工のしやすさです。

驚かれる方もいらっしゃると思いますが、大理石は「やわらかい」石なんです。
やわらかい、と言っても素手でどうこうできるものではありませんが、花崗岩や玄武岩などの他の石と比べると非常にやわらかいのが大理石なのです。

そのやわらかさ故に、古代ギリシャの芸術家たちは大理石を用いた彫刻を多数残しています。ノミなどで簡単に加工できるくらいやわらかいんです。
この大理石を使用し、ギリシャでは紀元前6世紀頃から多くの美しい神殿建築が建てられ、また有名なギリシャ彫刻を残しました。

「やわらかさ」が建築材料として使用する際に非常に重要な点だったのです。
古代世界には機械など当然ありません。さらに言えばメソポタミア文明においては鉄器すら存在していませんでした。
石や青銅器などの弱い工具で硬い石を切り出すことは非常に困難です。
ゆえに加工しやすい大理石が好んで使用されたのだと思われます。
加工もしやすく、美しい。これほど素晴らしい石があるでしょうか?

ちなみに、この美しさとやわらかさを兼ねそろえた代表的な金属として金が存在します。

金も大理石と同様に、時の権力者たちに愛されてやみませんでした。
奥州藤原氏の中尊寺金色堂、足利義満の金閣、豊臣秀吉の金の茶室など、日本でもぱっと思いつくだけでたくさんの例が出てきますね。

美しさだけではなく、加工もしやすい。
この二点を兼ねそろえていたので大理石は古代から愛され続けたのです。

次回に続きます。

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