これだけは知っておきたい。石の7つの性質について まとめ

2020年5月20日水曜日

その他石材 御影石 石解説 石灰石 大理石

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一口に「石」といっても、そこには様々な種類があります。
(花崗岩・安山岩・凝灰岩・砂岩・粘板岩・大理石・石灰岩…etc.)

もちろん、石種ごとにそれが形成される過程も異なるのですが、
一般的に、皆さんが想像される石をみる際(建材などとして使用する場合)に、
共通して把握すべき7つの基本性質が存在します。

今回はその石の7つの基本性質について説明していきますので、よろしくお願いします。


石の7つの基本性質

羅列していくと以下の7つになります。
①吸水・透水性
②強度
③摩耗性
④耐火性
⑤耐候性
⑥耐薬品性
⑦硬度

名前からニュアンスはなんとなくつかめると思いますが、
一つずつ説明していきます。

①吸水・透水性

水の吸いやすさのことです。
石材は水を吸わない、と思われている方もいるかもしれませんが、それは誤った認識です。
石材は水分を吸い込む性質(吸水性)を持っていて、その表面から反対側に水を染み出す性質(透水性)も持っています。
石はマグマや砂などが熱や圧力で変性してできたものなので、目には見えない小さな孔(これを細孔といいます)があります。
この孔から水が入り込んでしまうわけです。

砂岩や凝灰岩、そして石灰岩のような形成時にあまり強い圧力を受けていない石の吸水率が高い一方、
花崗岩(御影石)のように強い圧力と熱で、ぎゅっと固められた石は比較的水を吸いにくいというのは想像しやすいと思います。

吸水・透水性が高い石材は汚れも細孔に入り込みやすいということで、汚れやすいので注意する必要があります。
また、湿った状態(ずっと吸水している状態)だとカビなどが発生する原因となるので、換気を十分にすることも大切です。

②強度

石材の強度の指標には
・圧縮強度
・曲げ強度
の二つが使われています。

圧縮強度は、平たくいうと圧力に対する強度です。石材に圧力をかけた場合どこまで耐えられるかということを判断する指標となります。

曲げ強度は、どこまで曲げられるかということを示す指標です。金属でいう剛性、が一番わかりやすいでしょうか。

構造材料として使われることの多かった石材の圧縮強度はもちろん高いのですが、
曲げ強度に関しては、木材など他の建材と比較すると高くない傾向にあります。
やわらかい素材の方が曲がりやすい(折れにくい)のはわかりやすいですよね。
また、同じ石種でも含まれる成分の割合の違いや、模様などによって異なることがあります。(大理石などは自然の亀裂があるところはそこだけ弱かったりします)

③摩耗性

擦り減りやすさ、のことです。
硬く耐摩耗性が高い花崗岩(御影石)に対し、
大理石、石灰岩、砂岩、凝灰岩は摩耗しやすい性質を持っています。(その数値数倍~数十倍!)
摩耗しやすい≒傷つきやすいということなので注意が必要なのですが、
老舗百貨店など歴史のある建物の床に使われている大理石は、元が磨きだったのが摩耗してマットになっていたりして歴史の味わいがあるので、一概に摩耗しやすいから良くない、というわけではないと思います。

④耐火性

耐熱性と言い換えた方がいいかもしれません。
燃えやすさというよりは、どれだけの熱に対して、従来の強度を保っていられるかということを示します。
高温にさらされると、たいていの物質は変化して従来の強度や形質を保っていられなくなります。(たとえばたんぱく質は50度で変質してしまいます)

石は耐火性が強いように思われるかもしれませんが、石種によって大きく異なります。
そしてここまで優等生だった花崗岩(御影石)が意外なことに、最も耐火性がありません。
非常に火に弱く、500度以上の熱に晒されると急激に強度が低下します。
この原因は花崗岩に多く含まれる石英が原因で、石英の主成分は二酸化ケイ素、つまりガラスのようなものなのですが、これが火に弱いようです。
花崗岩の他にも、大理石も火に弱く、大体700度以上で強度が低下するようです。

これに対し、安山岩、凝灰岩、砂岩は耐火性があり、高温でも強度は低下しません。(一部色が変化するものはあります)

⑤耐候性

雨風に耐える力、つまり風化しにくさです。
耐候性が高くない石種は一般的に外装には不向きとなります。
一般的に花崗岩、安山岩などの硬い石は耐候性に優れていますが、砂岩、凝灰岩などは耐候性はあまり高くありません。
大理石のように炭酸カルシウムを含む石は、弱酸性の雨水によって徐々に表面が溶けて侵されますので外装には向いていません。
また花崗岩(御影石)に関しても、種類によって酸に弱いものがありますので外部で使用する際には注意が必要です。

吸水率の大きな石種では、冬季の凍結による破損(凍害)が起こる可能性があります。
吸水性の高くない大理石でも、表面に亀裂がある種類の場合は、この凍害が起こる可能性が高いので、寒冷地での使用は要注意です。

⑥耐薬品性

一言でいうと耐酸/耐アルカリ性です。
耐候性の項目でも説明したように、大理石は酸に弱い性質があります。
ですので、温泉地などで大理石を浴槽に使うのは好ましくありません。
そしてアルカリ性に対しても侵される場合がありますので、注意が必要です。

花崗岩(御影石)は耐候性の項目の通り酸に弱い種類があります。
一方でアルカリ性に対しては強い傾向があります。

⑦硬度

この硬度はモース硬度、つまりひっかき傷のつきにくさを示しています。
世界一硬い石として知られるダイアモンドのモース硬度10に対して、
花崗岩の主成分である石英が7、長石が6と、モース硬度が高いため硬い石材となっているわけです。
ちなみに長石は黒い御影石、石英は白や赤のものに多いので、いわゆる黒御影は、赤御影や白御影よりはやわらかい方となります。

一方”やわらかい石材”である大理石の主成分の方解石はモース硬度3と、あまり硬くない性質となっています。ですので、ギリシャ彫刻のような細かな細工を施すことが可能だったわけです。

それぞれの特性を知り、適材適所での使用を!

ここまで石材の7つの基本性質を紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
なんとなく、使用する場所のイメージがつかめたかと思います。

なぜこの性質を把握しておくことが必要なのかといいますと、きちんと石種の性質を理解することによって、その石種の良さを最大限に活かし、長い間楽しむことができるからです。
耐候性の弱い大理石を外構などに使用してしまったら、雨風で痛み、外観は損なわれるだけでなく、余計なメンテナンスを強いられることになります。
しかし、適切な石材を使用することによって、長い間美しい外観を保つことができるのです。
摩耗することを前提に、大理石を床材に使用するというのも素晴らしいことだと思います。年月とともに味を増していくというのを楽しむというのも自然物ならではです。

石は大自然が作り上げた一種の芸術品で、それには一長一短があります。
様々な角度から石のことを理解し、適材適所で使用するためにも、まずは上記の7つの性質について調べておくことは大切だと思っています。

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